クローズアップ科学

ピラミッドや原子炉、火山も透視 素粒子観測の意外な使い道

クフ王のピラミッドは、王のミイラが見つかっていないなど謎が多い。巨大空間に遺物があるかもしれず、今後はより近い場所に原子核乾板を設置して詳細な構造などを調べるという。

観測に使った原子核乾板は厚さ約0・3ミリと非常に薄いシート状で、軽量な上に電源も不要なため、さまざまな場所に設置できる。さらに名古屋大は、原子核乾板に刻まれたミュー粒子の痕跡を高速で読み取る機械も開発。痕跡を人間が一つずつ数える手間が省け、研究活動が大きく前進した。

既に森島さんらは、ピラミッドのほかにも東日本大震災で事故を起こした東京電力福島第1原子力発電所(福島県)2号機の原子炉内部も観測。高い放射線量で近づけない作業員に代わり、炉心溶融が発生していたことを確認した。

火山の透視でも応用が進んでいる。東大地震研究所の田中宏幸教授らの取り組みが有名で、06年には浅間山(長野・群馬県)内部の観測に成功し、ミュー粒子で火山の内部を世界で初めて画像化。このほか昭和新山(北海道)のマグマが通った「火道(かどう)」の直径も確認した。

会員限定記事会員サービス詳細