経営に根付いた粉飾体質
そこで、窮地に陥った同社が手を伸ばした禁断の果実が粉飾決算だった。
捜査2課などによると、山田容疑者は赤字を黒字に見せかけるように決算書類を改竄(かいざん)。経営状況が順調であるように見せかけた決算書類を作成した上で、メーンバンクである三井住友銀行に提出し、融資名目で現金約1億9400万円をだまし取ったとされる。金融機関に対しては「航空機をチャーターするために融資が必要」などと嘘をついていたという。だまし取った現金は、同社の運転資金に充てられていたとみられる。
赤字を黒字に偽装する粉飾決算は25年9月期から始まっていたが、それ以前にも、黒字を少なく見せかける粉飾決算を行っていたことも判明。法人税を免れる意図があったとみられ、粉飾体質が長期間にわたって経営に根付いていたことをうかがわせる。
顧客救済難しく
今回、事件の直接の被害者は銀行だが、楽しみにしていた旅行を台無しにされ、返金も受けられていない旅行客らの怒りは今も収まっていない。
今月6日、都内で開かれた債権者集会では、出席した旅行客たちから山田容疑者への不満が爆発した。
管財人らからの現状説明が終わり、質疑応答に移ると、参加者からは「客に対する詐欺だとは思わないのか」などの質問が相次いだ。こうした質問が出るたびに会場には拍手がこだました。