今年3月、経営破綻状態となり、一斉に航空券が発券できなくなった「てるみくらぶ」(東京)。虚偽の決算書に基づき金融機関から約2億円をだまし取ったとする詐欺容疑で逮捕された社長の山田千賀子容疑者(67)は、破綻の危機に直面しながらも高額の役員報酬を受け取っていた。さらに破綻直前まで集客を続けており、破綻で前払い金が返還されていない顧客や、海外に置き去りにされた旅行客らの怒りは大きい。長年にわたる無軌道経営に警視庁捜査2課のメスが入ったものの、顧客救済までの道はなお険しい。
余計に出費、海外に置き去りの不安も
「航空券が発券されない可能性があるので、空港には行かないでください」
3月下旬、てるみくらぶを通して海外旅行をしていたり、旅行を計画したりしていた8万〜9万人ともされる人々に突然、こんな電子メールが届いた。
札幌市に住む娘と孫2人と一緒に行くタイ旅行を翌日に控え、成田空港近くのホテルに宿泊していた川崎市の女性会社員(57)は「何の説明もないままメールは届いた。どうしていいのか分からなくなった」と当時の心境を振り返る。
女性は20万円を超す旅行代と、4人での宿泊代などで計約50万円が余計にかかったが、同社からの返金はない。