核・ミサイル開発に突き進む北朝鮮への対処をめぐる溝は埋まらなかったようだ。
中国の習近平国家主席はトランプ米大統領との会談後の会見で、朝鮮半島の非核化に力を尽くすとしながらも、具体的な措置は示さなかった。
金正恩政権に警告を発することもなく、対話と交渉を通じて問題を解決するという従来の立場も変えなかった。
習氏は「太平洋には中国と米国を受け入れる十分な空間がある」とも語った。中国は大国であると強調したつもりだろう。
それを口にしたいなら、北朝鮮の核・ミサイル開発放棄へ影響力を行使すべきだった。責任ある大国などとは程遠い。
中国は北朝鮮を経済的に支えてきた。その中国で習氏は盤石な基盤を築いた。地域の平和と安定に権力を用いることなく、国際社会の指導者のような顔をしているのは、ふさわしいといえまい。
北朝鮮に「最大限の圧力」をかけるというトランプ氏の方針は変わらない。そのために中国やロシアにも協力を呼びかけてきた。北京入りしてからも「中国が真剣に取り組めば、問題を解決できる」と語っていた。
だが、習氏が示した「圧力」は国連安全保障理事会の制裁決議の厳格履行にとどまった。