浪速風

貼るよりビリビリ破く快感、障子貼りは嫁姑の暗闘の場でもあったのだが…張り替え必要なくなり風物詩消える

建具を洗い、障子を張り替え…。こんな光景も最近はあまりみられなくなった
建具を洗い、障子を張り替え…。こんな光景も最近はあまりみられなくなった

俳句の歳時記で「障子」は冬の季語だが、「障子貼る」は秋である。障子を貼り替えるのは冬支度だからだ。「障子貼る母の手さばき妻の敵」(草間時彦)。嫁と姑(しゅうとめ)の暗闘の場でもあったのか。ただし子供は、このときばかりは大いばりで、障子を突き破り、ビリビリと引きはがすのが快感だった。

▶真新しい障子は、傾いた秋の日差しをやわらかく受けとめる。さらに昔の家屋は、庇(ひさし)や縁側を設けて直接の日光を遠ざけた。谷崎潤一郎は「陰翳礼讃(いんえいらいさん)」で「室内へは、庭からの反射が障子を透してほの明るく忍び込むようにする。われわれの座敷の美の要素は、この間接の鈍い光線に外ならない」と書いた。

▶最近の戸建て住宅やマンションは、和室より洋室で、障子や襖(ふすま)は使われなくなった。障子紙も和紙にビニール樹脂をラミネート加工して丈夫になり、何年も貼り替える必要がないようだ。障子貼りを見かけないのも時代の流れだろうが、風物詩が消えるのは寂しい。