【理研が語る】細胞の秘密を探す旅…理研ライフサイエンス基盤技術研究センター・清末優子(1/2ページ) - 産経ニュース

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細胞の秘密を探す旅…理研ライフサイエンス基盤技術研究センター・清末優子

【理研が語る】細胞の秘密を探す旅…理研ライフサイエンス基盤技術研究センター・清末優子
【理研が語る】細胞の秘密を探す旅…理研ライフサイエンス基盤技術研究センター・清末優子
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 見ることが好きだ。20年前、緑色蛍光タンパク質(GFP)によって光る細胞の動画を初めて撮影して再生したとき、それまでの愛想のない静止画像とは打って変わって、細胞たちが饒舌(じょうぜつ)に語りかけてきた。

 私たちが健康であるのも病気になるのも、その根源はひとつひとつの細胞の活動にある。細胞の中には、都市の機能さながらに司令塔があり、輸送網があり、生産や分解を担う工場もある。その細胞の活動を担うのがさまざまな生体分子だ。ただ、人間のように意思を持たない分子たちが、いかにしてこの細胞内社会の秩序、ひいては人の全身の機能を正常に保っているのか、いまだに謎だらけだ。

 2008年にノーベル化学賞を受賞した下村脩博士が発見したGFPは、分子の観察に革命をおこした。一方で蛍光顕微鏡には進化が必要だった。20年前の蛍光顕微鏡では、GFPで光る細胞を撮影しようにも、1秒間に1枚の画像も撮影できないのだ。分子はそれより何倍も速く縦横無尽に動いている。

 もっと速く、もっと詳しく観察する方法を探し続けるなか、2011年、極薄のシート状の光で細胞内を詳細に三次元観察できる方法を開発していたエリック・ベツィグ博士(米ハワード・ヒューズ医学研究所)に出会った。博士の方では私が作製した微小管伸長端マーカーを使い、その顕微鏡で撮影したいと考えていた。そこで共同研究を始め、1秒間に200枚以上の断層画像を撮影できる「格子光シート顕微鏡」を完成させ、2014年に発表した。タイミングを同じくして、博士が以前に開発した超解像蛍光顕微鏡法へのノーベル化学賞授与の報が届き、二重の喜びとなった。