こうしたジャクソニアンの伝統は、アメリカ史の中に脈々と流れてきた。反知性主義と呼ぶと響きは悪いが、竹を割ったような性格のアメリカ人を思い描くといいだろう。今日のトランプ政権が、その衣鉢を継ぐものと考えると分かりやすい。同時に「歴史に根差したこの政権は、簡単には覆されない」と考えるべきだろう。
≪アジア関与こそが国益に繋がる≫
ジャクソン政権下のアメリカはまだ西部開拓の時代であり、日本で言えば天保の改革の頃である。外交政策はそれほど重要ではなかった。しかし今日のアメリカがそれでは困る。日本外交としては、アジアに関与し続けることがアメリカの国益になると、粘り強く説得しなければならない。
その意味で、今回のトランプ大統領訪日に対する安倍晋三首相の対応は合理的なものだった。長女イバンカさんやゴルフ外交ばかりが注目されているが、「自由で開かれたインド太平洋」という概念を日米が打ち出した事実は重い。「アメリカ・ファースト」のトランプ大統領を、安倍流の「価値外交」に引き込む試みといえよう。