正論

「異例」なトランプ政権に日本は逆張りで投資 ゴルフばかりではない安倍流外交の功績 双日総合研究所チーフエコノミスト・吉崎達彦

 ジャクソンはいわばアメリカ史における初のポピュリスト大統領である。「庶民のための政治」を掲げ、白人男子のみとはいえ普通選挙制を実現した。「大きな政府」を嫌い第二合衆国銀行の解体を強行した。他方、「アンドリュー1世」と呼ばれるほどの強権ぶりで、ネーティブ・アメリカンを狩猟地から追い出したりもしている。いろんな意味でトランプ大統領に重なってみえる人物なのだ。

 政治学者のウォルター・ラッセル・ミード教授によれば、トランプ政権のポピュリズムはジャクソン大統領の思想と文化に根差している。トランプ支持層は、アメリカは使命を帯びた特別の国などではないと考え、人権や民主主義といった理念のための戦争には関心を示さない。しかし対外的な脅威に対しては敏感で、軍事力を行使する際のハードルは低い。

 彼らは、ワシントンが悪意ある勢力に乗っ取られていると懸念している。エスタブリッシュメントはもはや愛国的ではなくなっている…トランプ支持者たちの根底には、こうしたエリート層に対する不信感がある。他方、オバマ前大統領やヒラリー・クリントン氏たちは、彼らのことを「銃や宗教にしがみついている」「嘆かわしい人たち」と見なしてきた。

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