こうした言動から、天皇陛下との会見を懸念する向きも一部にはあったようだ。だが、筆者はその点は心配していなかった。
というのも、かつてドゥテルテ氏は日本メディアの取材に対し、天皇陛下に対する深い尊敬の念を語っていたからだ。
フジテレビが運営するニュースサイト「ホウドウキョク」は、ドゥテルテ氏の初来日に先立つ2016年10月25日にFNN(フジニュースネットワーク)がインタビューした際のやりとりを掲載している。
それによると、日本滞在中に最も会いたい人物を聞かれたドゥテルテ氏は「それはもちろん天皇陛下です。どの国のリーダーでも天皇陛下にはお会いしたいと思うでしょう」と答えた。さらに「お会いしたら何をお伝えしたいか」と問われるとこう語った。
「恐れ多くて言葉が出ないかもしれません。神のような存在として尊敬いたします。なんと申し上げようか…。『敬愛なる陛下、このように直接お会いできることは人生で最上の喜びです』とか…」
ところがインタビューの2日後に予定されていた会見は、当日朝に三笠宮さまが薨去(こうきょ)され、取りやめとなった。
滞在先のホテルで宮内庁側から中止となったことを伝えられたドゥテルテ氏は「いつか陛下とお会いする機会があると確信しています」と話し、哀悼の意を表したという。