坂東武士の系譜・第2部(6)

熊谷直実 敦盛との一騎打ち、そして出家

 さまざまな伝説に彩られた有名武将だが、その所領は小さく、小山氏や宇都宮氏ら有力武将とは所領の規模、家来の数で大きな差があった。ただ、実力差は大きくても頼朝の家臣である点では同列。それだけに戦場で敵将の首を取るとか、一騎打ち、先駆けなどの目立った戦功を上げることに必死だった。また、平家に追い詰められていた挙兵当初の頼朝にとって、所領は小さくても武勇に優れた武将が味方に付くことは心強く、大事にした。

 また、クマガイソウの語源も直実である。膨らんだ花の形が、背中に母衣(ほろ)を背負った武士に見立てた。直実が戦場で駆ける武士の代表だった。

 熊谷直実(くまがい・なおざね)1141〜1207年。熊谷氏の始祖、熊谷直貞の次男。幼名・弓矢丸。嫡男・直家に家督を譲り、出家。熊谷氏は平将門を討った平貞盛の子孫とされる。

 参考文献は、「熊谷直実」(高橋修、吉川弘文館)など。