【アート 美】「怖い絵」展 女性への恐怖心? セザンヌが描いた狂気(1/2ページ) - 産経ニュース

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「怖い絵」展 女性への恐怖心? セザンヌが描いた狂気

【アート 美】「怖い絵」展 女性への恐怖心? セザンヌが描いた狂気
【アート 美】「怖い絵」展 女性への恐怖心? セザンヌが描いた狂気
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 暗闇の水際で、男女2人がブロンドの髪の女性を殺そうとしている。今まさに刃を突き立てんとする男。たくましい両腕で被害者を抑えつける女。3人の関係を物語るものはない。すさまじい殺意だけが、暗鬱な画面から伝わってくる。

 その名も「殺人」(1867年頃)。意外にも、フランスの画家、ポール・セザンヌ(1839〜1906年)の作品なのだ。静謐(せいひつ)なリンゴの静物画や故郷サント・ヴィクトワール山の風景などで知られる近代絵画の巨匠が、28歳のころ、こんな残忍極まる絵を描いていたとは。

 銀行家の父の方針で一度は地元エクス=アン=プロバンスの大学で法学の道に進むも、画家になる夢を捨てられなかったセザンヌは22歳でパリに出た。しかし国立美術学校やサロンなど公的な美術界からは拒絶され、挑発的で激しい気性ゆえに芸術家仲間からも孤立しがちだった彼は、パリと故郷を行き来しながら葛藤に満ちた日々を送る。

 どす黒いエネルギーを絵にぶつけたのだろうか、「殺人」をはじめ初期のセザンヌ作品を覆うのは死とエロチシズムだ。暗い厚塗りの画面に、彼は殺人や性的蛮行といった暴力的シーンを繰り返し描いたとされる。中学時代からの盟友で作家のエミール・ゾラ(1840〜1902年)によると、こうした絵画の多くは後年、セザンヌ自身によって廃棄されたらしい。