「現行憲法に自衛隊明記を」 九州女性の会、福岡で街頭活動 地方議会でも機運醸成図る

通行人らに改憲の必要性を訴える「九州女性の会」のメンバーら=福岡・天神
通行人らに改憲の必要性を訴える「九州女性の会」のメンバーら=福岡・天神

 衆院選で与党が圧勝し、憲法改正への歩みが進む可能性が大きくなってきた。九州では、日本国憲法公布から71年となる3日、女性団体が改憲を求める街頭活動を行った。地方議会では「国会でも、国民の間でも憲法論議を深めるべきだ」と議論の加速を促す意見書の議決が相次ぐ。(山口支局 大森貴弘、九州総局 村上智博)

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 「私たちが安心して福岡・天神の街を歩いている今も、自衛官は北朝鮮の脅威と戦っている。ひとたび災害が起きれば、命懸けで対処するそんな皆さんを、憲法違反のままにしておいてよいのでしょうか」

 3日午後、天神の繁華街で、背中に「ありがとう自衛隊」とプリントされたおそろいのジャンパーに身を包んだ女性が、行き交う買い物客に、現行憲法に自衛隊を明記するのに賛同するよう署名を求めていた。

 「美しい日本の憲法をつくる九州女性の会」(実行委員長=高原朗子・熊本大教職大学院教授)が主催したイベント「自衛隊ありがとうアクション」で、九州一円から130人の主婦らが参加した。

 「『自衛隊は憲法違反かもしれないけど、何かあったら命を張ってくれ』というのは虫が良すぎるんじゃない?」と書いたチラシ5千枚は、すぐに配り終えた。親子連れや女子大生らが気軽に署名に応じた。改憲へ関心の高さをうかがわせた。

 高原氏は「第4次安倍晋三政権発足は、改憲の追い風になるだろう。今からが始まりという気持ちで『平和を守るためにも改憲が必要だ』と九州各地で訴えたい」と主張する。

 ◆議論活性化を

 首相は1日夜の記者会見で、改めて憲法改正への意欲を示した。

 「憲法改正は自民党の立党以来の党是だ。今回の衆院選で初めて公約の柱の一つに位置付け、改正すべき4項目を示し、選挙戦を戦った。今後、公約に掲げた基本的な考え方に沿い、具体的な条文案を党内で検討する。党としての案を国会の憲法審査会に提案したい」と述べた。

 衆院選の結果が、改憲への動きを活発化させるのは間違いない。

 首相は5月3日の憲法記念日に「2020(平成32)年を、新憲法が施行される年にしたい」と表明した。ただ、1日の会見では「スケジュールありきではなく、目標は議論を活性化するために述べたものだ」と述べた。改憲には、首相自身の発言にあるように、何よりも「国民的な理解」が欠かせない。

 ◆広報活動に力

 改憲への機運醸成を図ろうと、地方議会も動く。

 福岡県の筑紫野市議会は6月27日、「国会における憲法論議の推進と国民的議論の喚起を求める意見書」を賛成多数で可決した。

 意見書では現行憲法を「日本が直面する国内外の情勢の変化に対応した内容にすべきだ」と訴えた。その上で「国会や主権者の国民が幅広く議論し、憲法にはその結果を反映させるべきだ」とも強調した。

 こうした動きは県議会レベルで加速した。九州・山口の全8県の議会で既に、国民論議を深めようと呼びかける意見書が可決されている。

 さらに、保守系の民間団体「日本会議福岡」などによると、これまでに北九州、柳川、福岡の3市などの議会が同様の意見書を可決し、市町村議会にも広がりを見せている。

 自民党福岡県連では、こうした地方議会を足場に、改憲の賛同者を増やす作戦に出た。県連内に昨年秋にできた「憲法改正推進本部」で今後、具体策を協議する見通しだ。

 同県連のある幹部は「賛同する地方議員それぞれの後援会などを基点に、改憲へのうねりを作る。保守基盤の拡大にもつながるだろう」と意気込む。

 福岡の政財界でつくる「美しい日本の憲法をつくる福岡県民の会」の加地邦雄副代表(県議)は「今後、自衛隊の明記など改憲の意義を地道に訴え、より支持を広げたい。広報活動に力を入れたい」と語る。

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【用語解説】憲法改正

 憲法96条で改正手続きを規定する。衆参両院でそれぞれ総議員の3分の2以上の賛成により国会が国民に改憲を発議する。発議から60〜180日以内に国民投票を実施し、過半数の賛成で憲法改正が承認される。平成19年に投票に向けた具体的な手続きを定めた国民投票法が成立した。衆参両院には憲法に関する総合的な調査を行い、改正原案を審査する憲法審査会が設置され、審議が続く。これまでに憲法が改正されたことはない。

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