父の道継ぎ後進育成に力 旭日小綬章潜水士・鉄芳松さん(77) 静岡

 鉄芳松(てつよし・まつ)さん(77)は鉄組潜水工業所(静岡市清水区)の2代目社長。日本潜水協会の会長を8年間務めている功績などが認められ、3日発令の秋の叙勲で旭日小綬章を受章した。

 鉄さんは父親も潜水士。幼い頃から父親に同行して日本各地を訪れ、船の上からその仕事ぶりを眺めてきた。自身が潜水士になったのも「(父親に)誘導されたようなもんだ」と笑う。

 潜水士は水中や海底が仕事場だ。仕事の内容も岸壁や防潮堤の土台作りから、水中での溶接まで多岐に渡る。作業着も鉄さんの現役時代には装着するヘルメットだけで約20キロ、作業着を全て装着したときの総重量は約70キロにも上った。

 現在は軽量化されているが、それでも作業着の総重量は最低でも約20キロに達する。過酷な労働環境などから潜水士の数は3300人程度にまで減少。平均年齢も45歳と高齢化が進み、毎年約70人が高齢のためリタイアしていくという。

 ただ、平成23年3月に発生した東日本大震災を受け、東北地方で潜水士の需要が急増。防波堤の崩壊状況の確認や航路の確保などのために全国にいる潜水士の約3分の2が被災地に集められることになった。

 2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、東京でも今後埋め立て地の補強などが必要になる見通しで、潜水士は現在、全国各地で喉から手が出るほどほしい人材となっている。

 鉄さんは後進の育成にも尽力。潜水教育課程のある水産・海洋系高校や大学に出向いて潜水士の仕事をPRしたり、現在300万〜500万円の潜水士の年収を引き上げるためのアクションプログラムの策定などに取り組んできた。今後の目標として、既に潜水士の資格を持つ人たちにより実践的な教育を施せるような専門学校などをつくれないか検討中だ。

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