主張

第4次安倍内閣 緊張感保ち国難にあたれ

 第4次安倍晋三内閣が発足した。その最大の使命は、戦後の日本がこれまで経験してこなかったほどの荒波を、乗り切っていくことである。

 北朝鮮危機や少子高齢化への対応は、文字通りの国難である。

 首相と再任された閣僚、政府与党の全員が緊張感を保ち、国政に当たるべきだ。単なる政権の継続ではなく、危機の克服を国民が託したことを忘れてはならない。

 北朝鮮は9月中旬以降、大きな軍事挑発を控えているものの、油断はできない。核・ミサイル戦力を放棄しないと言い張っており、暴発を防ごうと努める日米韓に対する攻撃をほのめかす。

 強固な日米同盟のもと、いかに北朝鮮を核・ミサイル放棄へ追い込むかが新内閣の大きな課題である。万が一の有事に備え、国民を守り抜く態勢を強化すべきだ。

 防衛力整備の基本方針となる「防衛計画の大綱」の見直し作業が始まる。敵基地攻撃能力の導入へ決断を求めたい。そこには、北朝鮮のみならず、中国の脅威を抑止する視点が不可欠である。

 少子高齢化に対し、あらゆる政策分野で急激な人口減少に備えなければならない。早期にその全体像を示してもらいたい。

 首相は、補正予算案を編成し、少子高齢化対策などを盛り込む考えだ。費用対効果を踏まえ、優先すべき点を考えてほしい。

 約200年ぶりとなる天皇陛下の譲位と、皇太子殿下への御代(みよ)替わりという重要な行事が控えている。陛下や皇太子殿下のお気持ちや国柄を踏まえ、滞りなく準備を進める必要がある。

 憲法改正も待ったなしである。改正案の発議の作業が遅々として進まなかった前国会の轍(てつ)を踏んではなるまい。首相は「自衛隊の明記」の実現などに向け、指導力を発揮してほしい。

 特別国会の召集をめぐり、政府与党側は当初、8日間で終わらせようとして野党の反発を招いた。結果的に会期を12月9日までとり、首相の所信表明演説や代表質問も行うことにしたのは当然といえよう。

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