技能実習制度、外国人失踪ハイペース 半数がベトナム人 覚書の効果なし 群馬

 来日して働きながら学ぶ「技能実習制度」で県内に滞在する外国人の失踪が、昨年を上回るペースで推移していることが30日、分かった。特にベトナム人の増加が目立ち、今年2月、円滑な受け入れに向け県と同国が締結した覚書の効果は出ていない。11月には実習生の介護分野での就労を可能にする関連法案が施行されるが、需要を増やすだけでいいのか、失踪事案への対策が急務だ。 

 県警によると、10月23日現在、実習制度で来日し県内で失踪したと認知した外国人は82人(暫定)で、昨年1年間の計88人を上回るペースとなっている。今年上半期(1〜6月)は36人で、前年同時期比でわずかに減少しているが、県警は景気動向次第で「より高収入が見込める職種を求め、増加することも懸念される」と分析している。

 来日から早い段階で失踪するケースが依然、後を絶たない。今年上半期でみても、入国から1年半以内での失踪が23人と全体の64%を占める。在留期限のある時期に失踪、見つかっても逮捕を免れ、難民申請するなどして働き続けられるなど現行制度の抜け穴を狙ったものだ。失踪者のうち発見に至るのは「年に数件」(県警)。多くが不法残留者となるが、中には、「『帰国したい』と交番に出頭するケースもある」(捜査関係者)という。

 国籍別でみると「横のつながりが強い」(関係者)といわれるベトナム人の失踪が目立つ。今年上半期では、失踪者全体の47%を占める17人(前年同期比3人減)で中国人は12人(同2人減)。

 県警は、国内の好況などで中国人実習生が減り、ベトナム人が増加しているとみている。外国人技能実習機構が作成した資料によると、昨年10月末時点で全国のベトナム人実習生は対前年同期比で56・4%も増加している。

 こうした傾向を受け県は2月、ベトナムと技能実習生の円滑な受け入れ育成を図るための覚書を締結、失踪事件減少に向け連携してきた。しかし、現実は期待とは裏腹にベトナム人の失踪者は高止まりしている。都道府県レベルで初の覚書を交わした以上、さらなる取り組みが求められる。

 ◇外国人技能実習制度 企業などが外国人を受け入れ、習得した技術を母国で生かしてもらうことを目的に、平成5年に創設された。現行制度下では入国時の在留期限は通常1年間で2年目に在留資格を更新、最長の実習期間は3年間。平成28年末の実習生は全国で約23万人。賃金不払いや不法就労者の雇用などの問題が指摘されている。

 ◇新制度「介護」の実習可能

 外国人技能実習生をめぐって11月から施行される新しい制度では、農業など従来の実習分野に「介護」が加わり、実習期間は最長で5年となる。優良団体は、実習生の受け入れ枠を増やすことが可能になる。

 また、実習生の失踪の原因となる賃金不払いなど、受け入れ側の日本企業や、ブローカーなど悪質な送り出し機関を排除するなど、政府間で連携し、運用面でも厳格化される。

 具体的には、実習先で適切に制度が運用されているのかを監督する監理団体を許可制にし、パスポートの取り上げなどの「不正行為」を通報できる窓口を設置する。介護分野に限っては、実習生に対しても入国時から一定程度の語学力を求めるほか、実習生5人に対し、1人以上の指導員を選任しなければならないなど特別な要件を設ける。

 県の高齢者保健福祉計画(第6期)によると、平成37年時点で1万1793人の介護従事者が不足すると推計され、期待も高まる。

会員限定記事会員サービス詳細