30日に首相官邸で開かれた日比首脳会談は、予定時間を大幅に延長して行われた。フィリピンのドゥテルテ大統領は報道陣のいる場では原稿読みに徹して、代名詞でもある暴言の類いを一切封印。「私どものパートナーシップは試練を乗り越えたパートナーシップと言えるだろう」と述べるなど、日本との関係強化への意欲を前面に出した。
「フィリピンは日本とともに戦略的パートナーシップの黄金時代を築いていく用意がある」
ドゥテルテ氏が会談冒頭でこう語ると、テーブルを挟んで正面に座った安倍首相は満足そうな表情を浮かべた。
会談は最初の全体会合が55分、少人数会合は20分の予定だった。ところが、全体会合は約10分、少人数会合は50分近くもオーバーした。北朝鮮や中国の問題で突っ込んだ議論をしたほか、ドゥテルテ氏が11月中旬に初会談するトランプ米大統領のことも話題になったとみられる。
ドゥテルテ氏は夕食会の挨拶の途中で「おなかが空いてきた。原稿2ページを読み飛ばして最後のページにいく」と言って、会談に集中して空腹と時間を忘れていたことをにじませた。その上で「われわれの友情は公式のスピーチを超えている」などと「友情」の言葉を繰り返した。