人の体調は日ごとに変化する。日々の体調を健康な状態に保つには、不調が表れたときの対症療法ではなく、不調のもとを改善する原因療法が効果的だ。
「生薬(しょうやく)」という言葉を聞いたことがあるだろうか。薬効成分を含む植物や動物、鉱物などの天然物をそのまま、あるいは乾燥させるなど簡単な加工をしたものだ。複数の生薬を相乗効果が得られるよう調合すると漢方薬になる。自分に合った生薬を日常的に取れば、体に本来備わっている免疫力などの自然治癒力が高まり体質改善につながる。
生薬を酒に浸し溶け込ませたものが「薬酒(やくしゅ)」だ。古くから世界各地で飲まれており、中国の歴史書「史記」には紀元前4〜3世紀に薬酒を病気治療に用いたとの記述がある。セイヨウネズを香り付けに使うジンや、キャラウエイやコリアンダーなどを使ったカンパリも薬酒の仲間だ。
酒に浸すとアルコールの溶解作用で薬効成分が自然に近い状態で抽出できるし、酒の血行促進作用で効率よく全身に行き渡る。適度の飲酒は緊張を和らげ自律神経を整えるし、不眠を改善し胃液の分泌が促され、低下した食欲も戻ってくる。
薬酒の効き目は穏やかであるが、食前や就寝前に飲むようにすると、体が温まる、血色が良くなるなどの効果を実感できることが多い。薬酒を毎日の生活に上手に取り入れたい。(取材協力 養命酒製造)