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「中央防波堤」の帰属をめぐる江東区と大田区の亀裂が決定的となった。2020年東京五輪・パラリンピックでボートなどの競技会場となるため解決を急いでいたが、都の調停は成立せず、大田区は都内では初となる境界確定の訴訟に踏み込む見通し。長年の確執の背景には両区がそれぞれ抱く活用構想がある。
「現在の海岸線からの距離を測れば、江東区が必ず有利になる。埋め立て前の江戸末期か明治当初の海岸線から測るべきだ」
大田区の担当者は、こう不満を口にした。東京湾埋め立てでできた多くの造成地が江東区に編入された経緯があるためで、両区の海岸線から等距離の線を基準にするなどした都の調停案は「合理的でない」との立場だ。
大田区には、この地に企業誘致を進め、羽田空港周辺の物流をより活性化させる構想がある。住人がいないため帰属が決まっても税収増のメリットはないが、担当者は「間接的な経済効果がある」と見越す。