「地面師」が再び活発化 土地所有者装い大企業も手玉 「不動産業者の弱み突く」巧妙手口

東京23区の基準地価の増減
東京23区の基準地価の増減

 バブル期に暗躍した、所有者になりすまして不動産を売り飛ばして巨額の現金をだまし取る「地面師」の動きが活発化している。先日には、大手住宅メーカー「積水ハウス」(大阪市)が、地面師に支払った63億円のほとんどが回収できなくなっているとして、警視庁に刑事告訴する事案もあった。同様の被害に遭った不動産関係者は「『いい土地を誰より早く押さえたい』と考える不動産業者の弱みを突いてくる」と手口の巧妙さを指摘している。

巨額現金を詐取

 JR五反田駅(東京都品川区)から歩いて約5分。近代的なオフィス街にぽっかりとあいた穴のように、高い塀と樹木に囲まれた旅館がある。同社が「取引事故」に巻き込まれた2千平方メートルの土地だ。登記簿などによると、所有者は旅館を営んでいた女性だった。

 関係者によると今年4月、この土地をめぐる取引契約が結ばれた。契約は、所有者を名乗る女性から東京都港区の不動産業者がいったん土地を買い取り、即座に積水ハウスに転売するというものだった。

 積水ハウスは6月、購入代金70億円のうち63億円を不動産業者に支払い、登記を法務局に申請。しかし約1週間後、法務局から「所有者の本人確認書類が偽造されている」と指摘され、登記は却下された。

 この女性とはその後連絡がつかなくなり、代金のほとんどが未回収のままだ。