1年以上は継続
大蛇行の根本的な原因は解明されていないが、近年の研究で発生メカニズムが分かってきた。海洋研究開発機構の美山透主任研究員は「始まりは九州南方沖に出現する小蛇行だ」と指摘する。
まず黒潮の北側の冷水域に小さな渦が発生し、これに押され黒潮が小さく南へ蛇行する。やがて、対になる形で黒潮の南側にも渦が出現する。
この影響で黒潮は南へ引っ張られ、広がった冷水域を通って渦は東へ移動。伊豆諸島沿いにある海底山脈の伊豆海嶺にぶつかると、さらに成長して大蛇行を引き起こす。
大蛇行は伊豆諸島・八丈島の南側を通る場合は早く解消されるが、今回のように北側だと長引くことが多い。過去5回の継続期間はいずれも1年以上で、最長で4年8カ月続いたケースもある。
大蛇行の発生は水温や塩分濃度、海上の風速など変動しやすい多くの条件が複雑に関係している。スーパーコンピューターで分析しても、確度の高い予測は2カ月先までが限界という。
美山氏は「12月下旬ごろまでに解消する兆候はなく、過去の例から1年は続く可能性がある。沿岸部は引き続き十分な注意が必要だ」と話している。