クローズアップ科学

黒潮が12年ぶりに大蛇行 高潮の被害誘発、シラス漁に打撃

東京に降雪か

大蛇行は漁業にも影響する。顕著なのはシラス漁で、2004年に始まった前回の大蛇行の際は静岡県で漁獲量が平年の3分の1ほどに落ち込んだ。今年も東海・関東は深刻な不漁で、現時点では大蛇行との関連は不明だが、今後の影響が懸念される。

黒潮が名前の通り黒く見えるのは、栄養分のミネラルやプランクトンが少なく透明度が高いからだ。その一部が沿岸に流れ込むと、シラスは餌が減って育ちにくくなる。黒潮は流れが速いため、漁場が流されてしまう影響もある。

黒潮に乗って北上するカツオも漁場が陸から遠くなるため、小型船で漁に出るのが難しくなり、漁獲量が減る可能性があるという。

東京に雪が降りやすくなるという報告もある。太平洋岸の降雪は南の海上を西から東へ通過する南岸低気圧と密接な関係があるとされる。約40年間に南岸低気圧が東海沖を通過した約80回のケースを鹿児島大が分析した結果、東京に雪が降ったのは12回で、全て大蛇行の発生時だった。

南岸低気圧は暖かい黒潮の近くを移動する性質がある。黒潮が通常のコースだと距離が近すぎて東京に雪は降らないが、大蛇行で南下すると東京から離れ、降雪に適した場所を通過するようだ。

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