東京五輪1000日前

(上)1964年の記憶-衝撃だった閉会式「これが世界」…現役最年長サッカーライター、賀川浩氏寄稿

オリンピックの開会式と閉会式はセレモニーの域をこえた格別なものだ。参加国の選手団の入場行進に始まり、聖火の点火や選手宣誓にいたる開会式は、オリンピックの華といえる。閉会式は2週間の戦いの後、選手たちが会場の観客と世界に別れを告げ、4年後の再会を約束する場でもある。

1964年東京オリンピックのサンケイスポーツは、開会式を北川貞二郎さん、閉会式を賀川浩という東京と大阪の運動部デスクがそれぞれ書くと決めていた。

戦中派の北川さんは10月10日の開会式を、昭和18年(1943年)の学徒出陣壮行会の思い出と重ね合わせた。当時の神宮競技場(のちの国立競技場)での出陣式に参加した体験を、眼前の世界の若いアスリートたちの行進とダブらせ、「平和な争い」に参加する若者たちにエールを送った。中国の戦線で戦傷を負った経験を持つ文才豊かな北川さんの原稿は、各紙の記事の中でも秀逸との評判だった。