映画深層

あのCMもこのCMも…売れっ子演出家の長編デビュー作に注目 映画「おじいちゃん、死んじゃったって。」

 同世代の山崎とは夜な夜な話し合い、自分のフィルターを通して演出することを了承してもらう。それぞれの人物像についてどういうキャラクターなのかということを全員分、結構な文字数で書き起こし、若手の俳優には事前に渡すなど徹底させていった。

 「特に岸井さんが演じる吉子は、彼女を通じて家族が動き出すという役で、色がつきすぎると受け入れてもらえない。すごく難しい役だと思うが、岸井さんはいい意味で田舎の部分と都会的な面の両方を兼ね備えていて、その辺のバランスがすごくよかった。CMなどの映像を見てお願いしたのですが、彼女しかいないという思いはありました」

勝手に「お葬式」現代版

 資生堂、ソフトバンク、グラブル、ダイハツ、カルピス、JRAなどなど、手がけたCMは数え切れないが、ゆくゆくは映画監督になりたいと思っていた。生まれは広島市。高校までは陸上競技に打ち込んでいたが、大学生の兄がビデオを借りてきた岩井俊二や北野武、伊丹十三らの監督作品を見て、日本映画もいいものだなとの気持ちが生まれた。

 「兄が伊丹監督の映画がすごく好きで、その影響で『マルサの女』(1987年)とか『ミンボーの女』(92年)とか、面白い監督がいるんだなと思って見ていました。その後、伊丹監督は『お葬式』(84年)でブレークしたことを知るんですが、公開は僕の映画と同じテアトル新宿だったんですよ。僕は(今作を)勝手に『お葬式』の現代版と呼んでいるんですが、伊丹組(伊丹監督の撮影チーム)に怒られるかも…」と笑う。