仕事に生き生きと取り組む中年の男女ばかりを取り上げる若者向け求人誌が京都にある。その名も『おっちゃんとおばちゃん』。若者の離職率が高い現状を憂え、「将来、働くことが楽しくて仕方がない中年になってほしい」との思いを込めているという。「働き方改革」が議論されている今、就活のものさしの一つとして活用する学生も出てきた。(南里咲)
冊子は約20ページ。フリーペーパーとして京都府内の大学のキャリアセンターなどに置かれており、毎号1万部が発行されている。
8月に発行された2017秋号では、出版社「KADOKAWA」の女性編集者(65)を特集。ハングリー精神を持ちながら働く姿を紹介している。
親の借金を肩代わりしながら仕事をした日々について、女性編集者は「苦労そのものは不幸ではない、苦労にとらわれることが不幸」とし、社員みんなが不平を言う会社に入社して1週間で辞めたときの話も披露し「そんな会社には一日でもいたくない、自分の人生だから」と訴えている。
「あの頃」と題して若い頃の写真や当時の仕事ぶりを載せるコーナーもあり、おばちゃんの仕事についても知ることができる。
こうした巻頭特集のほか、「仕事が楽しい」とのコンセプトに賛同する企業を編集部が取材し、その会社で働くことで得られる幸せを伝える人材募集のページや、若手社員の仕事に迫る「ワカテのこゝろ意気」など就職に関する内容が盛りだくさんだ。
読者の龍谷大3年、出口友梨恵さん(21)は「登場する方々みたいに60歳になっても楽しんで働きたい」と話す。