「夫の言葉が証明された」と原告の菊池好子さん 建設アスベスト訴訟 - 産経ニュース

メインコンテンツ

「夫の言葉が証明された」と原告の菊池好子さん 建設アスベスト訴訟

首都圏建設アスベスト訴訟の東京高裁判決を、亡くなった夫の写真とともに傍聴した原告の菊池好子さん=27日、東京地裁
首都圏建設アスベスト訴訟の東京高裁判決を、亡くなった夫の写真とともに傍聴した原告の菊池好子さん=27日、東京地裁

 「『アスベストは体に悪い』と言っていた夫の言葉が証明された気がする」。国と建材メーカーに賠償を命じた東京高裁判決。訴訟提起から9年余りを経て勝ち取った逆転勝訴に、原告の菊池好子さん(80)は安堵の表情を浮かべた。

 配管工だった夫の憲雄さんが肺がんと診断されたのは平成17年6月。待望の初孫が生まれた翌月のことだ。入院中、駆け回る子供を見ては「あのくらいになるまで生きられるかなあ」とつぶやいていた憲雄さんだが、がんは骨や脊髄に転移。18年11月に62歳で亡くなった。

 病院やビル、学校などの現場を飛び回り、仕事一筋だった憲雄さん。ただ、好子さんには、かつて夫がつぶやいた一言が引っかかっていた。「同じ現場にいる若者がアスベストを使っている。すごい咳をしてるけど大丈夫だろうか」

 やがて憲雄さんは健康診断で肺の異常を指摘されるようになる。好子さんは何人もの医師に「アスベストが原因なのでは」と尋ねたが「原因は分からない」と言われるばかり。「石綿肺」と診断されたのはがんと告知された後だった。

 亡くなる直前、憲雄さんが口にしたのは「あのあんちゃん、元気でいるかな」。好子さんは「夫は、自分はアスベストのために死んでいくんだ、と分かっていたのだと思う」と話す。

 東京高裁の判決は、孫を抱いて笑う夫の写真を胸に、傍聴した。「アスベストがたくさんの命を奪った末に国などの責任が認められるのはむなしい気もする」と好子さん。「この世からアスベストがなくなることを祈りたい」と話した。