主張

「習思想」の中国 異様な権力集中に備えよ

 ■日米は国際秩序の破壊許すな

 異様なまでの権力集中と既存の国際秩序の破壊に等しい対外強硬姿勢を、改めて強く警戒し、備えなければならない。

 中国共産党の第19回党大会の閉幕を受けて、習近平党総書記(国家主席)の側近で固めた党最高指導部が選出され、2期目の習体制が始動した。

 特筆すべきは、自らの名を冠した「習思想」を党規約に盛り込んだことである。

 「建国の父」とされる毛沢東や、改革開放路線を敷いたトウ小平に並ぶ威信を確立させる意味合いだろう。この権威をかさに、米国と並ぶ「強国」を21世紀半ばまでに建設するという。

 ≪時代錯誤の管理国家だ≫

 焦眉の急である北朝鮮の核・ミサイル危機への対応にとどまらない。日本の安全保障と繁栄にとって、中国こそ「最大の脅威」であるとの認識が必要である。

 習氏による「新時代の中国の特色ある社会主義思想」に、大きな目新しさがあるわけではない。それでも「毛沢東思想」「トウ小平理論」と肩を並べる指導理念に持ち上げたのは、飽くなき権力欲の体現といえよう。

 この指導者が次の5年で何をなそうとするのか。独善的な統治はあらゆる領域で強まるだろう。富国強兵のアクセルを踏み込み、覇権主義を推し進める。

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