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安倍晋三首相は26日の経済財政諮問会議で「3%の賃上げが実現するよう期待する」と述べ、来年の春闘での賃上げを産業界に要請した。賃上げの裾野拡大に向け、政府は平成30年度税制改正で法人税の実効税率を引き下げる方向で検討に入った。現在29・97%の実効税率を段階的に最大3%程度下げ27%台前半にする案などがあり、企業の賃上げ原資を増やす。減税の制度詳細は年末に詰める。
首相が賃上げを直接求めるのは5年連続。諮問会議の民間議員も3%の賃上げを求め「社会的要請だ」と強調した。政府は今回の要請を踏まえ、最大で賃上げと同率幅となる法人税減税を検討する。来月下旬に本格化する与党の税制調査会の来年度税制改正の議論を前に、すでに経団連など関係団体との調整を始めた。
法人税減税を検討するのは、企業の税負担を減らせば、それだけ賃上げを行いやすい環境を整えられるとの判断からだ。法人税の減税に際し、利益を増やした企業ほど減税の恩恵が強まり、低収益や赤字を放置すると増税になる現行の制度をさらに強化する方針だ。 これにより高収益企業は最終的に残る利益がさらに増え、賃上げや設備投資が拡大して消費も膨らむ「経済好循環」の実現につながる効果も期待される。