衆院選・通商

TPP11交渉山場 トランプ来襲で日米FTAの懸念も

 通商交渉は衆院選が終わった今秋に山場を迎える。離脱した米国を除く環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加11カ国が大筋合意を目指して首脳会合に臨む上、貿易赤字の削減を迫るトランプ米大統領も来日。米国の圧力をかわすにはTPPという防波堤が欠かせず、国益を懸けた攻防をどう乗り切るか、日本の交渉力が試される。

 「経済連携協定は政権の成長エンジン。TPP首脳会合では日本がリーダーシップを発揮していきたい」

 安倍晋三首相は23日、経団連の榊原定征会長ら経済団体の幹部からTPP早期実現を求める提言書を手渡され、こう強調した。

 首脳会合は11月10日からのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて開く。協議は終盤に入ったが、政権交代を決めたニュージーランド(NZ)が再交渉を求める構えで、NZを除く10カ国で発効を模索する動きもある。

 また、自民党の農業政策を仕切っていた西川公也元農林水産相が衆院選で落選し、欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)も踏まえた国内農業対策の立案が混乱する恐れもある。

 一方、11月5日からのトランプ米大統領来日では、米側が今月16日の経済対話で強い関心を示した日米自由貿易協定(FTA)交渉を正式に要求してくるかが焦点。交渉に入れば農業分野で新たな市場開放を迫られる。日本は「TPP以上の譲歩はできない」と押し返すため、米国抜きのTPPを今秋妥結させたい考えだ。

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