衆院選

北朝鮮有事と憲法改正…強運首相に課せられた課題は重い 編集局次長兼政治部長・石橋文登

23日未明、自民党本部を出る安倍晋三首相=東京・永田町(松本健吾撮影)
23日未明、自民党本部を出る安倍晋三首相=東京・永田町(松本健吾撮影)

 つくづく安倍晋三首相は強運の持ち主だと思う。第48回衆院選は自民、公明両党がまたも大勝した。衆院選を3連勝、参院選を2連勝した自民党総裁は他にいない。

 そもそもやむなく引いた解散だった。事前調査では、民進、共産両党が共闘すれば自民党は50議席超を失う公算が大きかった。そうなれば憲法改正は水泡に帰す。それどころか総裁3選に黄信号が灯(とも)り、政権運営もおぼつかなくなる。

 だが、切迫する北朝鮮情勢が解散の先送りを許さなかった。米軍が北朝鮮を攻撃すれば、政府は長期にわたり後方支援や難民問題などの対応に追われ、来年12月の衆院任期満了まで衆院選という「政治空白」をつくる余裕はなくなる。

 そう考えた首相が密(ひそ)かにはじいた自民党の目標議席は現有マイナス40の250議席。安定して政権運営できるギリギリの線だった。

 ところが、9月25日の首相の解散表明に合わせて、小池百合子東京都知事が「希望の党」を旗揚げした。28日には民進党が希望への合流を決めた。

 首相はさぞ肝を冷やしたことだろう。

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