書評

足で稼ぎ、肌で学んだ捕鯨史 『日本人とくじら-歴史と文化』小松正之著

 各地に残るクジラ漁の伝承や慰霊碑、絵図、関連産業の歴史などを丹念に追い、クジラ料理店やくじら商、加工メーカーの代表らへのインタビューも収録。捕鯨史の専門家で著者が師と仰いだ河野良輔・元山口県立美術館館長の業績にもふれている。

 こうした捕鯨技術、文化が戦後の南極海捕鯨や敗訴した鯨類捕獲事業に結びついており、《過去の実績と軌跡に敬意をもたなければいけない…自らの責任を現在だけの理由で放棄してはならない》と訴える著者の思いは熱い。

 歴史と文化を学ぶことは、人間の修練であるという著者が、足で稼ぎ、肌で学んだ成果が伝わってくる。(雄山閣・2800円+税)

 評・八田達夫(アジア成長研究所所長)

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