【衆院選】22日投開票 東北各県の課題は - 産経ニュース

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22日投開票 東北各県の課題は

 第48回衆院選は22日投開票される。東北6県では計23選挙区に71人が立候補し、舌戦を繰り広げている。東北地方は、少子高齢化や過疎化による人口減少など、これからの日本の姿が加速した形で現れる「課題先進地域」とも言われている。加えて弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮への対応など、青森、秋田、山形が抱える課題を追った。

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 ◆青森「健康」

 厚生労働省の平成22年都道府県別生命表によると、平均寿命が男性で77・28歳、女性は85・34歳でいずれも全国ワーストの青森県。「日本一の短命県」からの脱却、そして、健康寿命の延伸は、喫緊の課題となっている。

 寿命を左右する要因の一つ、生活習慣病の予防に重要な減塩に向け、県は農水産物のだしのうま味を活用した食生活を呼びかける施策を展開している。県の担当者は「日頃から減塩の意識を持つことが重要」と説明する。

 また、飲酒量や喫煙率でも青森県はワーストグループで塩分過多、運動不足もあってガン、心疾患、脳卒中の「三大疾病」の死亡率も高い。さらに、糖尿病死亡率は3年連続全国ワーストとなっている。

 このため、選挙戦の中でも、「健康長寿県の実現」を掲げたり、医師不足の解消、介護の充実を訴えたりするケースが目立つ。

 平均寿命、健康寿命の延伸に大事なのは健康に対する意識の醸成と「悪くなる前に自分の体は自分で守る」という予防医療だ。

 故郷・青森県の地域活性化について研究している神奈川県藤沢市の大学院生、久保田圭祐さん(24)=青森市出身=は、藤沢市などで行っている成人歯科健康診査を例に挙げ、「行政の取り組みは啓発になるが、健康に対する意識がない人には啓発にならない。自分の体を理解し、律することが大事」と意識改革を促している。(福田徳行)

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 ◆秋田「北朝鮮」

 秋田県の男鹿半島沖に北朝鮮から発射された弾道ミサイルがたびたび落下し、3月には全国初の避難訓練が男鹿市で行われるなど、安全保障問題について、県民は敏感だ。

 だからこそ「一触即発の国際情勢において『安全保障上、政権交代は望ましくない』という潜在的意識が県民にある」(秋田市の60代男性)という声がある。 県内選挙区の与党候補者からは選挙戦後半になり、「北朝鮮問題は、政権与党にしか対応できない」という姿勢をより鮮明に打ち出すようになった。

 「日米同盟の『強い絆』をいっそう強め、国際社会と連携を密にとっていかなければならない」

 「ミサイルやテロから国民を守るのが政治の重要課題」

 「脅しに屈せず自衛隊を支え、日本を守れるのは自公連立政権しかない」

 こういった与党サイドの主張の一方で、野党サイドは北朝鮮問題を論戦の中心には据えず、触れたとしても「対話重視」の姿勢をとる傾向が目立つ。

 「北朝鮮への圧力を強めつつ、対話に向かわせるべき」

 「戦争を絶対に起こしてはならない。対話による平和解決に向けて、国際社会で日本がイニシアチブを発揮すべき」

 若い有権者の間には「ミサイルは心配だし、戦争は嫌。政治家には平和を守り抜いてほしい」(秋田市内の高校生)との声もあり、北朝鮮への対応策が投票行動と結びつきそうだ。(藤沢志穂子)

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 ◆山形「人口減」

 山形県酒田市の中心市街地。人影まばらな中、候補者の訴えが聞こえてくる。

 「一番の問題は人口減少。地方の活力の源は人口増だ」

 地方都市の最大の課題は人口減少だ。人口論が専門の政策研究大学院大学名誉教授の松谷明彦氏(72)は「このままの無為無策なら、社会保障の破綻、際限のない増税など10年足らずで一気に表面化してくる」と話す。

 松谷氏によれば、日本の人口は今後10年で700万人減り、15〜64歳の生産年齢人口は7千万人に落ち込む。一方65歳以上は3500万人を突破する。この変化は平成32年以降に現れ、現在の人口水準を維持できるのは東京、神奈川など首都圏と愛知、沖縄、滋賀のみ。東北は青森、岩手、秋田、山形、福島の5県で人口は1割減になるという。

 JR山形駅前で昭和46年から営業してきた老舗百貨店「十字屋山形店」が来年1月末で閉店すると発表したのは今年8月。一つの理由は商圏人口減と競争激化で、平成18年に57万人だった村山地区は10年後の28年に54万人に落ち込んだ。

 ただ、松谷氏の見解では高齢化率の高い山形や秋田では、高齢者が自然減になるにつれ若年層とのバランスが取れ、「地方の方が福祉などの社会保障費が減少する」という。

 人口減少の大きな要因は若者が地方を離れ、大都市に向かうこと。地方には若者が働きたくなる場、そして、その醸成が求められている。 (柏崎幸三)