アマゾン「第2本社」熱い誘致合戦 50億ドル投資と5万人雇用めぐり米都市が名乗り 巨額の税優遇案提案の都市も

 【ワシントン=塩原永久】米西部ワシントン州シアトルに本社を置くアマゾン・コムが示した「第2本社」設置計画に、全米の多くの都市が誘致を名乗り出ている。第2本社が置かれれば5万人超の雇用が見込めるだけに、各都市が巨額の税優遇を申し出るなど誘致に躍起となっている。

 アマゾンは誘致を希望する都市からの申し込みを19日に締め切った。米メディアによると、中西部イリノイ州シカゴや東部ニューヨーク市、東部マサチューセッツ州ボストンといった名だたる都市が手を挙げたことが判明している。

 第2本社を置いた都市にアマゾンは15年間で約50億ドル(約5600億円)の投資と5万人以上の雇用を約束している。AP通信によると、「20〜30年間で30万人規模の雇用」(カリフォルニア大学バークリー校のモレッティ教授)につながるとの試算もある。アマゾンの事業形態はオンライン通販からデータセンターまで多岐にわたり、関連企業が集積するためだ。

 そんな経済効果を熱望する都市からは優遇策が提案されており、東部ニュージャージー州は70億ドル(約7900億円)の州税、市税の控除枠を用意。西部カリフォルニア州も優遇策を申し出たとみられる。

 アマゾンは交通の利便性や高技能労働者の確保などの観点から選定し、来年、結果を発表する見通し。格付け会社ムーディーズは、南部テキサス州オースティンが誘致レースに勝利すると予想している。

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