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墓石や石製品の販売・加工を手がける「大阪石材工業」(本社・大阪府東大阪市)南大阪店(同府富田林市)の前に展示された「石のバイク」が話題を呼んでいる。バイク好きだった男性の墓前にかつて飾られていたモニュメント。「墓は決まった姿でなくてもいい」。ここ20〜30年でそんな価値観や感覚が広がり、故人の思いを反映したさまざまな形状の墓石が作られ、「お墓デザインコンテスト」も行われているという。(藤崎真生)
「石のバイク」、細部まで再現
「石のバイク」のモデルはカワサキの「ZXR」シリーズ。長さ約2メートル、高さ約1・1メートル、幅約60センチ。大阪石材工業南大阪店の店長、安達裕樹さん(35)によると、約20年前に制作。バイク事故で亡くなった男性の母親との話し合いが始まりだった。
事故でバイクは大破したものの男性の友人らの努力で復元され、故人の仏壇前に飾られていた。当時の同社担当者が「バイクの(石の)モニュメントを作れば故人も喜ばれるでしょうね」と男性の母親に話したところ、実際に形にする話が持ち上がり、制作が決まったという。
作る上で心がけたのは「(男性が)いつも乗っていたバイクだね」と思ってもらえるよう本物の姿に近づけること。実物を写真で撮影して2分の1サイズの模型を作るなどしてイメージを描いた。
本体部分はかつて墓石によく使われていた「大黒石」、赤茶色のホイール部分は整形しやすい「中国カパオ」という石を使用。ハンドル部分をはじめとする細い部分は、折れないように成形に細心の注意を払った。メーターやナンバープレート、車体にはられたステッカーといった細部まで再現した作品が完成したのは、依頼を受けてから約1年後だった。