反原発メディアは伝えない? 日本学術会議の報告書が伝えたかったこと

 ところが、この福島原発事故の子供への影響をまとめて取り上げた初めての報告書を報じた新聞やテレビはほとんどなかった。福島県の地元紙や県民向けニュースで取り上げた全国紙はあったが、産経新聞も含め全国ニュースとしての報道がほぼなかったことから、ネットでは多くの疑問の声が寄せられた。特に、反原発の主張が強い報道機関が報じなかったことには批判が寄せられた。

 ある全国紙の科学部記者は、「報告書は主に、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)の報告を引用している。UNSCEARの報告書はすでに各社報じているため、科学的評価について新たな知見はないと判断して記事化を見送ったのではないか」と語る。

 日本学術会議によると、今回の報告書は、今後取りまとめる予定の保健医療関係者に向けた提言につなげるためのものだという。新たな研究成果の発表でなく、現時点での科学的知見を集めた内容になったのも、そのためとみられる。

 被曝医療に詳しい量子科学技術研究開発機構の明石真言執行役は「報告書は事実関係は述べているが、学術会議としての考えはあまりなく、提言がほとんどだ。そういう意味でインパクトが少なかったのだと思う」と考える。

 明石氏が注目したのは、報告書にある「子どもに特化した線量評価や影響評価研究の実施、ならびに放射線防護体系の構築や必要とされる人材の育成、国民のヘルスリテラシー向上を推進すべきである」などの提言だ。国内には放射線の線量評価などが行える専門家は少なく、「健康への影響がないと判断するための一般の人にも分かるエビデンス(証拠)を出すのが難しい」(明石氏)のが現状だ。

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