国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「記憶遺産」に客観性に疑問の多い慰安婦関連資料が登録された場合、日本政府はユネスコ脱退を本格的に検討するとみられる。トランプ米政権が12日、世界遺産登録をめぐってユネスコの政治化を非難し、脱退を表明したことも日本の決断を後押しする可能性がある。
「二度目の失敗は許されない」。安倍晋三首相は周囲にこう話しているという。最初の失敗は2年前に登録された中国の「南京大虐殺文書」だ。外務省や文部科学省の対応が後手に回り、首相官邸は激怒した。
外務省などは反省を生かし、深く関与してこなかったユネスコ側とのパイプ強化に努めてきた。今回はその成果が試されるが、一抹の不安は残る。ユネスコが政治化した組織だからだ。
慰安婦関連資料をめぐっては、日本の保守系団体が登録申請した資料と同じものが含まれている。しかし、ユネスコ側は保守系団体のみに「特定のユネスコ加盟国に対する特定の主張が含まれる」などと勧告した。日本国民の感情を逆なでした「南京大虐殺文書」の登録資料は今も未公開で、ユネスコが登録を撤回する兆しもない。