栃木県今市市(現日光市)の小1女児殺害事件で、殺人罪に問われ、1審宇都宮地裁の裁判員裁判で無期懲役の判決を受けた勝又拓哉被告(35)の控訴審初公判が18日、東京高裁(藤井敏明裁判長)で開かれた。弁護側は改めて無罪を主張し、遺体から検出されたDNA型から、「第三者」が事件に関与した可能性があると主張した。検察側は控訴棄却を求めた。
直接証拠がない中、1審は捜査段階の自白などから有罪と判断していた。
弁護側は、「遺体から見つかったDNA型は真犯人に由来する可能性が極めて高い」と主張。被告の型が検出されなかったことは、女児と接触したとする被告の自白が「事実でないことを示している」とした。検察側は「皮膚に触れても、必ずDNA型が付着するわけではない。捜査関係者などの型が付いた可能性も否定できない」と反論した。
殺害場所についても、弁護側は遺体発見現場に大量の血液反応がなかったことから「犯行場所の自白は虚偽」と主張。検察側は、弁護側が根拠とする血液反応の実験は信用できない、などとした。
藤井裁判長は控訴審の争点を、DNA型の評価や、殺害場所など6点に整理。30日に開かれる第2回公判では、弁護側と検察側がそれぞれ請求した法医学者2人の証人尋問が行われる。
1審判決によると、勝又被告は平成17年12月、茨城県常陸大宮市の林道で、今市市で拉致した吉田有希ちゃん、当時(7)=をナイフで多数回刺し、失血死させた。