浪速風

桃栗3年…俺は一生 柿ほど役に立つ果樹はない

初出荷される特産の西条柿「こづち」=10月6日、島根県出雲市
初出荷される特産の西条柿「こづち」=10月6日、島根県出雲市

わが家の近くに柿の木がある。この時期になると、たわわに実をつけるが、誰も取ろうとしない。渋柿だろうか…。樽柿は空いた酒樽に渋柿を詰めておくと、アルコール分で渋が抜ける。「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」と詠んだ正岡子規は樽柿が好物で、一度に7、8個も食べたそうだ。

▶柿にまつわることわざは多い。「梅根性に柿根性」は、どうやっても酸っぱい頑固な梅に対して、渋柿は干すと甘くなることから柔軟な性質を言う。「柿が赤くなると医者が青くなる」は栄養価が高いから。なかでも「桃栗三年柿八年」がよく知られる。何事も成就するには相応の年月がかかるという意味である。

▶武者小路実篤は「達磨(だるま)は九年 俺は一生」と続けた。達磨大師は壁に向かって9年も座禅を組むことで悟りを開いたが、自分は生涯修行である、と。堅い木は家具材になり、タンニンを含んだ柿渋は染料や防腐剤として、葉は柿茶に…。これほど役に立つ果樹はない。