むしろ雇用を生み出す
技術開発は日進月歩である。とりわけ期待がかかるのが人工知能(AI)だ。
話しかけるだけで家電などを操作できる「AIスピーカー」が登場した。自動運転車の精度も向上している。
AIはわれわれの暮らしを便利にするだけでなく、働き方を変え、社会や経済に大きな影響を及ぼすだろう。少子高齢化に伴う労働力不足を解決する有力策として挙げられることも少なくない。
それどころか、「AIが多くの人の仕事を奪う」との予測も盛んに語られる。「2045年頃には9割の人が失業する」といった展望を示す専門家までいる。
多くの人が失業するようになれば生活保護受給者が増える。こうした予測をする人の中には、「生活保護は行政手続きに労力を要するので、収入水準にかかわらずすべての人に最低限の生活費を一律給付する『ベーシックインカム』を導入すべきだ」という意見まである。
こうした見通しについて、政府はどう分析しているのだろうか。厚生労働省の「労働経済の分析(労働経済白書)」が、経済産業省による2030年の労働力増減の推計を紹介している。