【クローズアップ科学】日欧の水星探査機が来年出発 太陽系外の地球にも迫る(3/3ページ) - 産経ニュース

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クローズアップ科学

日欧の水星探査機が来年出発 太陽系外の地球にも迫る

磁場のメカニズムが焦点

探査の最大の焦点は水星の磁場の謎だ。地球は誕生時に生じた高熱が内部に残っており、溶けた鉄が内部を対流して磁場が生じている。これに対しサイズが小さい水星は熱が逃げやすく、内部は既に冷えて固まっていて対流せず、磁場は生じないというのが1970年代前半までの定説だった。

しかし米マリナー10号が弱い磁場を発見し、これを覆した。MMOの最も重要な任務は、この弱い磁場を詳しく観測し、メカニズムを解明することだ。

太陽系に岩石を主成分とする惑星は4つあるが、磁場があるのは地球と水星だけだ。両者を比較すれば惑星磁気圏の理解が進む。また、水星に希薄な大気が存在する仕組みなど多くの謎の解明にも期待がかかっている。

今年2月、ベピコロンボ計画の重要性を再認識させるニュースが世界を駆け巡った。地球からわずか39光年の近距離にある恒星「トラピスト1」が、地球のような岩石型の惑星を7つも持っていると米航空宇宙局(NASA)などが発表したのだ。しかも、その位置を太陽系に当てはめて考えると、水星よりさらに太陽に近い場所に、7つ全てが収まってしまうという。

こうした特異な惑星は、恒星の熱や重力の影響を極めて強く受けているとみられるが、実態は謎だらけ。その解明には身近な太陽系で恒星に最も近い惑星、つまり水星の詳しい探査が役に立つ。このためベピコロンボ計画への期待は一段と高まっているのだ。

到着は8年後とやや気が早い話だが、水星はもとより、宇宙の多彩な惑星の成り立ちの理解にもつながる大きな成果を期待したい。(科学部 草下健夫)