「私は現実的なリベラル」と辻元氏は言うが…
衆院選の直前から「リベラル」(liberal)という言葉に接する機会が増えた。民進党が分裂し、保守を掲げる「希望の党」への合流組と、民進リベラル派を集めた「立憲民主党」などに分かれたのがきっかけだ。専門家は「個人の自由を尊重する思想的な立場」という本来の意味から外れて、日本ではある特定の「平和主義者」や「左派」を指すと指摘する。
「私は現実的なリベラルです」。立憲民主党の前職、辻元清美氏(57)=大阪10区=は5日、大阪市内の街頭演説でこう宣言し、「信念に従って憲法改正や安全保障関連法に反対してきた」と語った。
リベラルという言葉が盛んに使われるようになったのは、衆院解散が目前に迫った先月下旬、民進の前原誠司代表が「安倍晋三政権に勝つため、野党勢力を結集させる」と、小池百合子東京都知事が代表を務める希望の党への合流を模索して以降のことだ。
小池氏は、憲法観の一致や集団的自衛権の限定的な行使を認める安全保障関連法への賛成を「踏み絵」として提示。受け入れを拒否した左派が「リベラル派」と呼ばれるようになり、枝野幸男氏(53)=埼玉5区=による「リベラル新党」立民の設立につながった。立民は主張が近い共産や社民と連携を深め、全国の249選挙区で候補者を一本化。これら3党がリベラル勢力と呼ばれている。