三井美奈の国際情報ファイル

ファーストレディの経費、おいくら? 米は「公務」、仏では「不要論」も

 いま、世界的な注目を集めるファーストレディーといえば、マクロン仏大統領の25歳上の妻、ブリジットさん(64)とトランプ米大統領の妻、メラニアさん(47)だろう。抜群のスタイル、ファッションセンスは共通するが、2人を取り巻く環境は大きく異なる。「ファーストレディーとは何者か」をめぐる米欧の考え方がまったく違うからだ。

(パリ 三井美奈)

 フランスではマクロン氏の支持率が急落する一方、ブリジットさんの人気は健在。大統領府には、彼女宛ての手紙が1日に200〜250通届くという。

 ところが、マクロン氏がファーストレディーの地位を法で定め、もっと活躍してもらおうとすると、国民は猛反発。約30万人が「大統領の妻だからと言って、公費を使うのは許せない」とインターネット上に署名を寄せ、マクロン氏は計画断念を迫られた。

 一方のメラニアさん。夫のトランプ氏はツイッター発言で常に物議をかもしているが、「メラニアはすばらしいファーストレディーになる。女性問題に興味を持っているから、女性の代弁者になるだろう」と公的活動を促した時は何の反応もなかった。米国では、大統領の妻が活躍するのは当然のこと。オバマ前大統領のミシェル夫人(53)は子供の教育問題に取り組み、支持率は73%にのぼった。

 大統領夫人に法的地位がない点で米国はフランスと同じだが、活動への公費支出が法律で認められている点が違う。カーター政権時代の1978年、夫人の活動費を「大統領の職責遂行のために配偶者が行う補助、奉仕」とみなし、連邦予算への計上が定められた。つまり、ファーストレディーは事実上の「公務」と認められているわけ。

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