児童書

人に会うのが苦手 木の上で暮らす女性が嵐のときにとった行動がみんなの気持ちを変えていく『きのうえのおうちへようこそ!』

『きのうえのおうちへようこそ!』
『きのうえのおうちへようこそ!』

 「ツイグリーさんは、かわりもの」。こんな書き出しで始まるのは、木の上で暮らしている女性の話。ニャンコという名前の犬と、大きなソファやテレビもある快適な家に住んでいる。

 仲良しのクマたちは歓迎するけれども、たまに誰かが訪ねて来るとツイグリーさんは隠れてしまう。人に会うのが苦手なのだ。必要なものは、ニャンコが町へ買いに行ってくれる。

 町の人たちから困った人と思われていたが、あるとき大きな嵐がやってきて町が大洪水に襲われ…。ツイグリーさんが自然に取った行動が、みんなの気持ちをやさしく変えていく。

 1966年の刊行以来、アメリカで50年以上、愛され続けている。著者のコネティカット州の自宅には、大きなシダレヤナギの木があり、実際にツリーハウスがたてられていたという。

 いざというとき「なにをしたいか、したくないかなんて、かんけいない」と気付いたツイグリーさん。一人きりの幸せも貴いが、ドアを開けてみんなを迎え入れた家には、新しい喜びが満ちている。(ドロシア・ウォーレン・フォックス作、おびかゆうこ訳/偕成社・1500円+税)(永井優子)

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