主張

希望の党と経済 これで受け皿たり得るか

 このままでは、大衆迎合主義と評されても仕方あるまい。

 希望の党の小池百合子代表が発表した、衆院選公約の印象である。

 消費税増税の凍結や2030年までの原発ゼロなど、与党自民党との違いを際立たせる項目を並べた。

 アベノミクスの向こうを張って、「ユリノミクス」を断行すると大きく出たが、民間活力を引き出すという方向性は総じて新味に乏しい。公約を進めるための財源を含め、もっと具体的な制度設計を語ってほしい。

 とりわけ、政権選択選挙への取り組みを標榜(ひょうぼう)していながら、生煮えの政策を提示する姿勢は、極めて無責任である。

 消費税増税を凍結することについて、景気回復の実感がないことを理由にしている。増税には景気の腰を折る可能性がある以上、景気を見極めて実施の是非を判断するのはよい。

 ただ、税率10%への引き上げが予定されるのは2年先だ。足元の個人消費に勢いがない半面、企業収益や雇用環境は好転している。早々に凍結を唱えることに、十分な説得力はない。

 増収分の使途変更をめぐって先に消費税を争点化したのは、安倍晋三首相の方だ。そこを逆手に取り、有権者にわかりやすい対立軸を作ったつもりだろうか。

 希望の党として、消費税増税自体に反対するのか、経済好転時に実施するのかを明確にしておくべきである。

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