【関西の議論】〝お利口さん〟ではたどり着けない…世界最強「ネオジム磁石」はたった1人の実験から生まれた(2/5ページ) - 産経ニュース

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関西の議論

〝お利口さん〟ではたどり着けない…世界最強「ネオジム磁石」はたった1人の実験から生まれた

 東北大大学院では材料の基礎科学を研究していた。それが、47年に富士通に入社すると、コンピューター回路に使われていた磁石の研究が仕事となり、これがきっかけだった。

 それからシンポジウムや学会に出席したり、教科書や論文を読んだりと、独学で磁石について学んだといい、「自分1人の研究。ずいぶんと熱中したね」

 転機は入社5年後の52年。コンピューター回路に使うサマリウムコバルト磁石の耐久性を高める研究を指示されたことだった。当時、鉄で最強磁石を作るのは難しいと考えられていたのだが、そこに疑問が生じた。「なぜ鉄ではだめなのか」

 ブレイクスルーのヒントは、53年に出席したシンポジウム。鉄とレアアースの組み合わせでは「鉄原子同士の距離が近すぎるから磁石ができない」という説明を聞いたことだった。

 それならば、鉄と鉄の間にホウ素のような小さな元素を入れて間隔を広げたらいいんじゃないか-。アイデアがひらめいた。

 「独学で学んだ分、常識や定説にとらわれず柔軟に考えられたのだろう。ただ、私のアイデアに根拠は全くない。何の保証もないし、説明できない。直感です」

たった1人の実験で開発

 直感を信じて地道に研究を続けた。ただ、会社には開発を却下され、磁石の研究自体も打ち切られてしまった。57年1月、退職を決意。同年5月までは会社の実験室の使用を認められ、1人で実験を続けた。

 進退窮まった段階に、研究人生で最も忘れられない瞬間が、突然訪れた。