ウオッカをベースにトマトジュースを混ぜたカクテル「ブラッディ・マリー」の由来はイングランド女王、メアリー1世(1516〜58年)の異名にある。カトリックのメアリーは300人ものプロテスタントを処刑したことから、「血まみれメアリー」と呼ばれたからだ。メアリーが即位後、最初に処刑したのが自分より先に「イングランド初の女王」を宣言したジェーン・グレイ(1537〜54年)だった。
ジェーン・グレイが王冠をいただいたのはわずか9日間。反逆罪で投獄され、カトリックへの改宗を拒んだため7カ月後、ロンドン塔の断頭台に散った。わずか16歳と4カ月のはかない人生だった。
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約300年後、フランスの歴史画家、ポール・ドラローシュ(1797〜1856年)が処刑寸前のジェーンを描いたのが「レディ・ジェーン・グレイの処刑」だ。ロンドン・ナショナル・ギャラリーを代表する名画だが、このほど日本に初上陸し、上野の森美術館(東京都台東区)で7日に開幕する「怖い絵」展で公開される。