貴重な「登録文化財」相次ぎ解体、理由は重い「管理費負担」…所有者手放すケース後絶たず

 自治体所有の登録文化財の解体は珍しく、関係者の間からは驚きの声が上がったという。市まちづくり景観課の担当者は「歴史的な文化財でギリギリまで残すことを検討したが、安全性も考えるとやむを得なかった」と話す。

 近代建築の保存に取り組む国際学術組織「DOCOMOMO」の日本支部代表で京都工芸繊維大の松隈洋教授(近代建築史)は「古い建物は地域のよりどころ。残そうと決めれば、いろいろな活用の可能性が見えてくる」とした上で、「行政に頼り切るのではなく、クラウドファンディングなどで市民から資金を募る手もある」と話す。

 例えば、昭和11年に完成し、平成27年に登録文化財となった滋賀県高島市の旧今津郵便局は、地元住民らによって保存活動が続けられている。

 ウィリアム・メレル・ヴォーリズ設計で、長らく倉庫として使われていた建物の管理と運営を地元住民らで結成した「ヴォーリズ今津郵便局の会」が引き継ぎ、傷んでいた建物を手弁当で修復した。今はコンサートや寄席などの会場として使用している。

 耐震診断や補強計画の立案にかかる費用をクラウドファンディングで集め、今年3月までに目標額の50万円を達成。同会会長の大石義一さん(73)は「見知らぬ人からも寄付をもらい、私たちの活動をいろんな人たちが見てくれるのだと感じた」と話していた。