ソロモンの頭巾

長辻象平 今夏の多雨 伊勢杉が語る地球寒冷化の時代

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 スーパーコンピューターに大気や海洋に関わる物理法則を組み込んで長期の地球気候を模擬すると、温暖化では多雨、寒冷化では乾燥に向かうと予測されるのが一般的だ。

 現代の気候変動の研究では、こうした計算プログラムによる「気候モデル」が活用されている。

 今夏の東日本でみられたような降水量の増加も温暖化の進行と結びつけて説明されるのが一般的だ。

 だが、伊勢神宮の杉の古木は、寒冷期における中部日本での雨量の増加を証言している。

 家忠日記のように寒冷期の多雨を示す古記録だけでなく、年輪中の酸素同位体比の研究によって現代科学の立場からも裏打ちされることになったのだ。

 「日本では、温暖化するほど雨量が増えるとは言い切れないのです」と宮原さんは語る。

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 気象学者の多くは、太陽の磁場活動の強弱は地球の気候に影響しないという立場だが、それでよいのだろうか。太陽活動の低下は黒点数の減少として表れ、歴史上、過去の少黒点期は日本の江戸時代など地球の小氷期に当たっている。

 そして今、太陽は100年ぶりの本格的な活動低下に向かっているところだ。今夏の長雨を、歴史と太陽活動に重ねると小氷期の訪れの予兆とも読める。

 二酸化炭素だけを気候変動の主因とみなす取り組みには、一本綱の危うさを感じてしまう。多様な観点の排除は科学の暗黒時代への逆行だ。そういえば黒点の観測にはガリレオが関わっていたのだった。

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