ソロモンの頭巾

長辻象平 今夏の多雨 伊勢杉が語る地球寒冷化の時代

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 海底に堆積した微生物の化石に含まれる酸素18と酸素16の比率(同位体比)を調べると堆積当時の気温が分かる。

 樹木の年輪を構成するセルロースの酸素同位体比からは、1年ごとの大気中の湿度が分かるのだ。

 宮原さんは、伊勢杉の1900年から59年までの年輪の酸素同位体比を1年刻みで測定し、近くの津地方気象台の実測湿度と比べたところ、きれいに一致。

 この比較によって伊勢杉の年輪の酸素同位体比は、過去の大気の湿度を忠実に反映していることが確認されたのだ。

 それより昔の時代の分析は、1600年以降の年輪について行った。その結果、1780〜1880年の間の年輪の酸素同位体比が示す湿度は、83%前後となった。現代を10ポイント近く上回る高湿度は、当時の多雨を示唆している。

 宮原さんによると、年輪ごとの酸素同位体比が示すのは、各年の梅雨期の湿度であるという。樹木は梅雨に成長するためだ。

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