人生「もうひと花」へ 50年後の平均寿命…女性91歳、男性85歳 論説委員・河合雅司

 ◆(3)生きがいの創出

 長い老後を考えれば、早くから老け込んでいるわけにはいかない。100歳時代に欠かせないポイントの3つ目が「生きがい」だ。

 それには「高齢者=弱者」という、これまでのシルバー像を打ち破らなければならない。いまの60~70代は一昔前に比べて、見た目も身体能力も大きく若返った。

 「生きがい」を引き出すのに最も重要なのは、居場所と役割だ。自治体などは50代の地域活動への参加機会をもっと増やすことだ。

 現役時代から自分の能力を磨き続けることが必要となる。社会人の学び直しも充実させる必要がある。

 長い老後を考えれば、「第二の人生」として起業を目指す人も増えるだろう。長く働くには、技術革新など時代の変化に対応できる人材であり続けることが求められる。

 「老後」が長くなることを考えれば、終身雇用ではない働き方の選択肢を広げる必要も出てくる。1つの仕事にこだわらず、転職しやすい仕組みづくりも求められる。

 一方、100歳時代で忘れてならないのが、長い老後で家族構成が大きく変わることである。とりわけ「おばあちゃん大国」において注視すべきは、女性高齢者の1人暮らしの増大だ。高齢社会白書によれば、2035年には女性高齢者の1人暮らしは23・4%となり、4人に1人を占める。男性も16・3%になるという。

 体力が大きく衰える年齢になって身の回りのことが不自由になったり、孤立したりしてからではなく、若いうちからコミュニティーに溶け込み、同年代の人が集まり住むという「新たな住まい方」も求められる。

 人生が長くなる分、「老老介護」のリスクも大きくなる。一方で高齢者の就業も増えることから、60代の息子が100歳の母親の介護にあたるために離職せざるを得ないといった介護離職も増えるだろう。政府は50代の働き盛りだけでなく、働く60代にも目を向けなければならない。

 果たして、100歳時代を「希望ある未来」とできるのか。あるいは「懸念に満ちた未来」となってしまうのか。

 すべては、われわれがどこまで価値観を変えられるかにかかっている。

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