人生「もうひと花」へ 50年後の平均寿命…女性91歳、男性85歳 論説委員・河合雅司

 まずすべきは「100歳時代」とはどんな社会なのかを正しく理解することだ。そして、自分自身が100歳になることを前提として元気なうちに「備え」をしておくことである。

100歳時代、3つのポイント 豊かな未来へ発想転換

 100歳時代を豊かな社会とするには、価値観を変え、発想を大きく転換する必要がある。

 いま何が求められているのか。それを考える前に100歳が当たり前となる社会を展望しておこう。

 一般的に、老後を意識し始めるのは50歳を過ぎた頃からだろう。今年50歳を迎えた人が100歳を迎える頃の日本社会はどうなっているのだろうか。

 彼らが100歳となる2067年は、100歳以上人口が年間出生数を上回る象徴的な年でもある。

 国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、この年の総人口は8614万人で現在の3分の2程度だ。一方で、高齢化率(総人口に占める65歳以上の割合)は38・4%に及ぶ。2・5人に1人は65歳以上という高齢者が街中にあふれる社会となっている。

 100歳以上が増えるということは、高齢者全体が高齢化することである。2067年には80歳以上が総人口の2割近くを占め、その6割は女性である。

 日本は「おばあちゃん大国」として位置づけられることだろう。高齢女性が安心して暮らせる社会をいかにつくるかが、100歳時代の大きなキーワードとなるということだ。

 では、100歳時代を豊かな社会とするためには社会をどうつくり替えればよいのだろうか。

 ◆(1)健康寿命を延ばす

 まずは、健康な人を増やすことだ。いくら長生きをしても、闘病生活が延びるだけなら本人にとってもつまらない。

 内閣府の「高齢社会白書」によれば、健康寿命は2013年時点で女性74・21歳、男性は71・19歳である。

 同白書は認知症患者数が2060年には1154万人となり、65歳以上の3人に1人を数えるようになるとも予測している。この平均寿命と健康寿命の差を少しでも縮めたい。

 そのためには、「病気になってから治す」という発想から脱却しなければならない。気軽に人間ドックを受けられる仕組みをつくる必要がある。

 50代から日常生活における食事や運動などを少し心がけるだけでも、「長い老後」の中では大きな違いとなって表れる。

 ◆(2)働けるうちは働く

 豊かな老後を過ごすには、健康への備えもさることながら収入を安定させなければならない。

 「老後の収入」を増やすには計画性が欠かせない。定年退職を迎えてから慌てても選択肢は限られる。ここでも「働けるうちは働く」という発想への転換が求められる。

 少子化によって若年層が薄くなっており、今後は高齢者の雇用は進むだろう。2030年までに労働力人口は900万人近くも減ると予測されている。

 政府のバックアップも不可欠だ。年齢によって雇用を打ち切るという考え方自体をなくすための法整備が急がれる。

 「働けるうちは働く」ということが当たり前となれば、年金受給を遅らせることができる。その分、年金生活に入ってからの給付額が増える。政府は、一定以上の勤労収入がある場合に年金受給額を減らす在職老齢年金制度の見直しも必要である。

 「老後の収入」において、最も急がれるのが定年退職した女性への対応だ。男女を問わず定年退職後に思うような仕事を探すことは難しいが、現状では50代後半の女性の過半数が勤務先から定年後の仕事に関する情報提供やアドバイスを受けていないという調査結果もある。「おばあちゃん大国」に備えるには高齢女性が働ける場所を増やしていかなければならず、企業側の意識改革が欠かせない。それ以前の問題として、働く意欲と能力のある人が年齢に関係なく働けるようにしなければ、100歳時代の社会は機能しない。

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